市町村などの水道から供給される水だけを水源として、その水を一旦受水槽に貯めてから給水する水道のうち、受水槽の有効容量※1の合計が10uを超えるものを「簡易専用水道」といいます。 ※1 有効容量とは、受水槽の最高水位と最低水位の間に貯留され、適正に利用可能な水量を指します。有効容量が10u以下の受水槽は「小規模貯水槽水道等」と言い、その衛生管理は、別途、各市町村ごとに個別に定められています。 |
設置者様は、1年以内に1回、厚生労働大臣の登録を受けた検査機関に依頼して検査(有料)を受ける必要があります。 |
【検査内容】 |
水槽等の外観検査 | 水槽本体及び、その周辺状況について検査 |
書類検査 | 設備等の関係図面、水槽の清掃記録、 日常の点検・整備記録等の検査 |
水質検査 | 給水栓における水の臭気・味・色・色度・濁度・残留塩素濃度 |
受検した結果、重大な衛生上の問題が見つかった場合は、管轄行政庁の立ち入り検査が適用されます。また、当該の法定検査を受けないと100万円以下の罰則が適用される場合もあります。(水道法第54条) |
設置者は、施設を衛生的に管理する義務があります。設置者が直接管理しない場合であっても、管理者を決めて責任の所在を明確にし、以下の点について衛生管理を行いましょう。 |
【管理内容】 |
貯水槽の清掃 | 受水槽・高置水槽の清掃は、 1年以内ごとに1回、定期的に実施しましょう。 |
施設の点検等 | 水槽の点検を行うなど、有害物・汚水等によって 水が汚染されるのを防止するために 必要な措置を講じなければなりません。 |
国内でも水道の衛生管理が特に進んでいる地域(東京都など)は、次のような管理を指導しています。簡易専用水道は多くの人が利用する施設ゆえ、法的な縛りは無いが、水の安全をきっちり確保する上でぜひオススメしたいです。 |
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水質に異常を認めた場合や、給水された水により健康を害する恐れがあると分かった場合は、次の処置を取る必要があります。 |
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貯水槽水道は、本来の役割に加えて、災害時など緊急に水を供給する場合に大きな役割を果たします。 ただし、以下の点だけはご注意ください。 |
水抜き管または使用可能な貯水槽付近の蛇口から採水しましょう。 貯水槽内にホースやバケツを入れると、汚れが水槽本体に入り、飲用に利用できなくなります。 |
高置水槽の水は、停電時でも活用できます。 汚染がなければそのまま利用可能。ただし、災害発生時に施設内の水栓が開いたままだと、 水槽内の水はすぐに無くなってしまいます。 |
使用前には、必ず、色・臭い・味・濁りをチェックし、 残留塩素濃度も確認しましょう。 最低限の水質チェックを怠るなかれ。 残留塩素測定器がある場合には、濃度が0.1mg/L以上あることも確認のことです。 |
【水道法】
(用語の定義)
第三条第七項 この法律において「簡易専用水道」とは、水道事業の用に供する水道及び専用水道以外の水道であつて、水道事業の用に供する水道から供給を受ける水のみを水源とするものをいう。ただし、その用に供する施設の規模が政令で定める基準以下のものを除く。
(簡易専用水道)
第三十四条の二 簡易専用水道の設置者は、厚生労働省令で定める基準に従い、その水道を管理しなければならない。
簡易専用水道の設置者は、当該簡易専用水道の管理について、厚生労働省令の定めるところにより、定期に、地方公共団体の機関又は厚生労働大臣の登録を受けた者の検査を受けなければならない。
(検査の義務)
第三十四条の三 前条第二項の登録を受けた者は、簡易専用水道の管理の検査を行うことを求められたときは、正当な理由がある場合を除き、遅滞なく、簡易専用水道の管理の検査を行わなければならない。
(改善の指示等)
第三十六条第三項 都道府県知事は、簡易専用水道の管理が第三十四条の二第一項の厚生労働省令で定める基準に適合していないと認めるときは、当該簡易専用水道の設置者に対して、期間を定めて、当該簡易専用水道の管理に関し、清掃その他の必要な措置を採るべき旨を指示することができる。
(給水停止命令)
第三十七条 厚生労働大臣は水道事業者又は水道用水供給事業者が、都道府県知事は専用水道又は簡易専用水道の設置者が、前条第一項又は第三項の規定に基づく指示に従わない場合において、給水を継続させることが当該水道の利用者の利益を阻害すると認めるときは、その指示に係る事項を履行するまでの間、当該水道による給水を停止すべきことを命ずることができる。同条第二項の規定に基づく勧告に従わない場合において、給水を継続させることが当該水道の利用者の利益を阻害すると認めるときも、同様とする。
(報告の徴収及び立入検査)
第三十九条第三項 都道府県知事は、簡易専用水道の管理の適正を確保するために必要があると認めるときは、簡易専用水道の設置者から簡易専用水道の管理について必要な報告を徴し、又は当該職員をして簡易専用水道の用に供する施設の在る場所若しくは設置者の事務所に立ち入らせ、その施設、水質若しくは必要な帳簿書類を検査させることができる。
(報告の徴収及び立入検査)
第五十三条 次の各号のいずれかに該当する者は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。
[九] 第三十七条の規定による給水停止命令に違反した者
第五十四条 次の各号のいずれかに該当する者は、百万円以下の罰金に処する。
[八] 第三十四条の二第二項の規定に違反した者
第五十六条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関して第五十二条から第五十三条の二まで又は第五十四条から第五十五条の二までの違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても、各本条の罰金刑を科する。
【水道法施行令】
(簡易専用水道の適用除外の基準)
第二条 法第三条第七項ただし書に規定する政令で定める基準は、水道事業の用に供する水道から水の供給を受けるために設けられる水槽の有効容量の合計が十立方メートルであることとする。
【水道法施行規則】
(管理基準)
第五十五条 法第三十四条の二第一項に規定する厚生労働省令で定める基準は、次の各号に掲げるものとする。
[一] 水槽の掃除を一年以内ごとに一回、定期に、行うこと。
[二] 水槽の点検等有害物、汚水等によつて水が汚染されるのを防止するために必要な措置を講ずること。
[三] 給水栓における水の色、濁り、臭い、味その他の状態により供給する水に異常を認めたときは、水質基準に関する省令の表の上欄に掲げる事項のうち必要なものについて検査を行うこと。
[四] 供給する水が人の健康を害するおそれがあることを知つたときは、直ちに給水を停止し、かつ、その水を使用することが危険である旨を関係者に周知させる措置を講ずること。
(検査)
第五十六条 法第三十四条の二第二項の規定による検査は、一年以内ごとに一回とする。
2 検査の方法その他必要な事項については、厚生労働大臣が定めるところによるものとする。